ときどき尋ねられることがあります。
「ご褒美におやつを使ってもいいのでしょうか?」と。
しっぽのかぞくでは、「いいよ!」ってこたえます。むしろ積極的に使う場合もあります。
食いしん坊でおやつ大好きな子だったら、ご褒美としておやつを利用してみましょう。
このとき、やさしい褒め言葉(いいこだね等)や、やさしい手つき(顎の下をよしよし等)を連携させれば、将来的におやつがなくても言葉や手つきだけでうれしい気持ちになってもらうことができます。
それでも、ときどきはおやつのご褒美もあげましょうね!
その子のやる気につながり、楽しく交流できることが重要だと思っています。
ただし、おやつをもらうことが喜びになる子に限ります!!!
おやつが好きではない子に、「ほらほら、おいしいよ!!」と押し付けても嫌な思いをするばかりです。
大切なのは
その子が喜ぶことは何か?
よく考え、観察し、心に寄り添うことだと考えています。
おやつよりも、なでてもらうことが何よりも喜びである子であれば、「なでるご褒美」をあげましょう。
なでてもらうことよりも、オモチャで遊ぶことが何よりも喜びである子であれば、「オモチャで遊ぶご褒美」をあげましょう!
以前ボランティアで「ほめ方教室」(ほめて楽しくしつけをしよう!というイベントです。)を開催したときのことです。
散歩中リードを激しく引っ張ってあるくわんちゃんのご相談でした。
引っ張ったとき、力まかせに引っ張返すのではなく、その場で止まってみようか。
きっと振り返って戻ってくるから、そのとき褒めてみて。
引っ張るより、飼い主さんのところに戻ることの楽しさを覚えよう。
今までお母さんは散歩中のほとんどを綱引きに費やしていたのです。
今回もわんちゃんは、ギューンと走りだし、リードは限界まで張りつめていました。
さて、お母さんはぐっとこらえて立ち止まること数秒。すぐにわんちゃんは「おや?」と気付き戻ってきました。
さあ、今がほめどきだよ!
声をかけた時、お母さんはぎこちないしぐさで「よしよし、いいこだね!」と背中をなでようとしたところ・・・
「!!!」
わんちゃんは、驚いて飛びのいて噛みつくしぐさをしました。
……もしかして、普段「よしよし、いいこだね!」って背中なでたことがないのでは?言い難いかもしれないけれど、むしろ叩いてしつけようとしたことない?
実は、飼い主さんのご家族に「犬は厳しくビシバシ服従させないといけない!!!」と思って、以前に手を上げたことがある方がいたのです。
よし、それじゃあなでるのご褒美にならないから、他のことにしよう!おやつ好き?
「……」
興味ないか!何が好きかな?なんだろうな~。
観察してみると、面白いことがわかりました。一緒に同行し、教室を開催している広場の柵の外からニコニコしながら見ているお父さんのことをじーっと見つめて尻尾を振っています。
お父さん大好きなの?おりこうだね~
「♪♪♪」
「お父さん」と「おりこう」への反応が良好。よし、ご褒美は「おりこう」の言葉(手は出さない)と「お父さんのところへ行く」と決めてみよう。
広場を歩きながら、引っ張った時は止まり、戻ってきたときは「おりこう」と声をかけ散歩再開。ちゃんと引っ張らずにお母さんとゆっくりあるけたら、「お父さんのところへダッシュ!」を繰り返しました。
わんちゃんは「おりこう」と言われればお母さんの顔を見るようになり、ゆっくり歩いてお父さんのところに向かっていくことができるようになりました。
その子が喜ぶことは何か?
よく考え、観察し、心に寄り添うことで、飼い主さんたちもわんちゃんも怖い思いも痛い思いもしないで済みます。
みなさんも、その子にとってのご褒美をみつけてみませんか?